
この作品に遍在する流麗なアーチ状のラインは、滑らかさと動きを表現している。大胆なプロポーションのフランジは、建築的なドームを思わせる構造。数千年にわたり芸術を支えてきたリブ構造の丸天井にインスパイアされ、マイクロブラスト仕上げのレッドゴールドで作られたこのフレームは、サテンポリッシュ仕上げのチタン製ピラーの上に据えられている。実体と空間の鮮烈なコントラストを活かしながら、スーパールミノヴァによる光が差しこむことで、暗闇の中でキャリバーに光を宿させる。
「RM 75-01」は透明への賛歌であり、ケースバックから繊細な色彩を一望することができる。サファイアの加工は、まさに技術的な偉業だ。重さ数十キロのブロックから 3 分割されたケースを取り出すには、24 時間体制で 40 日間の研削を含む、1,000 時間以上の加工時間が必要である。
結晶構造への金属酸化物を組み込むことで実現したカラーサファイアの誕生は、サファイア素材の探求における第二のステージを意味する。このプロセスは、透明なサファイアを作るよりもさらに複雑で繊細であり、温度と成長速度を極めて正確に制御する必要が生じる。わずかな誤差でも色ムラや気泡の形成につながってしまうからだ。
RM 75-01 フライングトゥールビヨン サファイア
チタン製のハイブランド地板は、まるで金属のレースのように精巧に作られ、インボリュート歯の歯車を持つ輪列、トゥールビヨン、香箱をしっかりと支えている。これら要素を支える上部ブリッジが存在しないため、“フライング”構造となり、ムーブメントのスケルトン効果を強調しながら、あらゆる状況にも耐える強靭さを確保している。このデザインにより、余分なものが一切排除され、視覚的なリズムがをより力強く演出する。
ブリッジには、立体感と遠近感を巧みに操る超精密なクラフツマンシップが見て取れ、それを透き通るサファイアと、精緻に施されたマイクロブラストサテン仕上げがさらに引き立てる。ロジウム処理のホイールと対照的に、5N ゴールドの PVD 加工を施したチタン製の地板がメカニズムに温かみを添えている。